錦織なしでも大丈夫。日本のデ杯勝利は、エース杉田祐一が引っぱった (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 岩渕監督は20代後半となった錦織や杉田がランキング上位を保っている間に、若手の育成と強化を軌道に乗せ、選手層をさらに厚くさせること、日本にも強いダブルスチームが将来的に必要なこと、そして、錦織や西岡の症例も参考にしながら、ケガの予防を図ることを課題に挙げた。

「上の選手にも刺激になるし、今回出られなかった若い選手も、(代表入り目指して)さらに頑張りたいという気持ちになるので、本当に意味のある残留だと思います」
 
 ただ、過密スケジュールによって個人戦と代表戦の両立が難しくなった現在、必ずしも錦織が日本代表に戻ってくる保証はない。来年28歳になる錦織は、ケガの回復具合や年齢による体力回復の衰えを踏まえ、グランドスラム初制覇のために、個人戦を優先させたいと言っても何ら不思議はないからだ。
 
 WGの常連であるデ杯強豪国の多くは、強いシングルスが2人以上いること、ツアーで活躍するダブルスペアがいること、といった条件をクリアしている。

 今後そのレベルへ少しでも近づき、さらに日本が強くなるためにも、今回のWG残留をもたらした勝利は意義深い。岩渕監督はトーマス嶋田コーチとともにニュージーランド出身のマクラクランを発掘し、日本ダブルス強化のテコ入れをしている。また、杉田のように、錦織以外でもWGプレーオフでシングルス2勝を挙げる選手が現れたことは、日本代表の財産であり、将来への大きな足跡となった。

■テニス 記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る