全米オープンで6勝、最高は3回戦。日本女子テニスは強くなったのか (5ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 
 今回のUSオープンでの日本女子選手の活躍について、レベルが上がってきた兆しかととらえたいところだが、村上氏は「トップ100に入ってきた日本選手が一時よりは増えましたけど、日本女子の全体のレベルが上がってきたとはまだ言いにくい」と、長年女子選手のプレーを見続けてきただけあって現状に全く満足していない。

 WTAツアーのインターナショナルレベルの大会(30~100位ぐらいの選手がエントリーしてくる)だと、現在の日本選手は上位進出ができるが、プレミアレベルの大会(トップ10をはじめ、50位以内の選手がエントリーしてくる)だと、初戦突破がおぼつかなくなる。

「ツアーレベルで戦っていく術(すべ)を身につけていかないといけない。例えば、100位前後で、ツアー予選を戦えるレベルにいるのなら、ツアー下部のITFに行ってランキングポイントを取りにいかないで、予選を上がって本戦に行くべき。そこでしか吸収できない部分がある。スケジューリングも含めて、身も心もツアーレベルになっていかないと厳しい」(村上氏)

 1990年代には伊達公子、2000年代には杉山愛がグランドスラムの第2週に頻繁に残っていたことを踏まえれば、村上氏が檄を飛ばしたくなるのもうなずける。

「もっと彼女たちはできると思っているので、もの足りないですよ。ここで喜んでいいかと言ったらそんなことはない」

 9月から10月にかけて、東京で開催されるWTAの2大会をはじめ、アジアでのツアー大会が続く中で、奈良、日比野、尾崎ら日本女子勢が活躍し、さらに日本女子テニス全体のレベル向上につなげることができるかどうか、彼女たちの実力が試される。

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