全米オープンで6勝、最高は3回戦。
日本女子テニスは強くなったのか

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

尾崎里紗も全米オープンでグランドスラム初勝利尾崎里紗も全米オープンでグランドスラム初勝利 ただ2回戦では、第27シードのジャン・シューアイ(26位)に0-6、3-6で敗れて、シード選手との力の差を見せつけられた。

「シード選手と対戦して力の差は感じましたしが、もっとできると自分で思うところもある。私は、どんどんエースを狙えるタイプではないですし、それほどパワーがあるわけじゃないので、(自分が)振られた時のボールとか食い込まれた時に、もっと精度よく、深く、イーブンに戻せるボールをしっかり打たないと通用しない」(尾崎)

 川原コーチは、尾崎がリードを奪うとラケットの振りが鈍くなるため、ボールが跳ねなくなって伸びがなくなってしまう悪い癖を修正していきたいと語る。また、ジュニア時代から尾崎を見守って来た村上氏も、彼女への期待が大きいだけに厳しい注文をつける。

「今のままだときつい部分があって、相手からすると、尾崎のやってくることをわかってしまっている。相手のミスを待っているだけだと、ITFレベルでは通じますけど、ツアーレベルだと通じない。ポジショニングだったり、ボールを捕らえるタイミングだったり、技術的にも戦術的にも幅を広げていかないといけない」(村上氏)

 ちなみに、日比野と尾崎は、今回のUSオープン1回戦で同日にグランドスラム初勝利を挙げた。2人とも日本女子テニスの"1994年組"で、周囲から何かと比較されることが多く、今回も偶然とはいえ、何か運命的なものがあったように感じられた。

「やっぱり"94年組"の存在は大きい。私、ひとりが勝っていたら天狗になっていたかもしれない(笑)」(日比野)

「(94年組は)刺激にはすごくなりますね。同じ大会にいれば、負けられないと強く感じるので、いい刺激になってます」(尾崎)

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