全米オープンで6勝、最高は3回戦。日本女子テニスは強くなったのか (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 こう試合を振り返った奈良を、ツアーに帯同している原田夏希コーチは労(ねぎら)った。

「勝ちにいくイメージを本人が持てていた。やるべきことも完璧にやり通せた。それでも勝つのは大変ですけど、勇気を持って、自分のプレーに信念があった」

 奈良は3回戦でルーシー・サファロバ(37位)に3-6、2-6で敗れたが、4年ぶり2度目のUSオープンベスト32という結果を前向きにとらえた。

「今、自分がやれることはやった。自分の得意なバックハンドをもっと活かせるようにしていきたい。角度をつけたり、早いタイミングで前に入れたらいいなと。自分の中ですごく成長できた、いい大会だった」

 ジュニア時代から奈良のプレーを見守ってきた元フェドカップ日本代表監督の村上武資氏は、身長155cmとツアーでは小柄ながら奮闘する奈良の活躍に目を細める。

「奈良のいいところは、毎試合ベストを尽くすことで、いつも全力の(ラファエル・)ナダルと似ているところがある。それが彼女の一番の強みで、だから競った時に勝てる芯の強さがある。まだまだ上に行ける可能性がある」

 原田コーチも、上向いてきた25歳の奈良のテニスに期待を膨らませ、今後さらなる進化を目指す。

「自分のテニスが見えてやり通せば、このレベルでやれる力はある。今、テニスの質がすごく上がっています。ディフェンスもできるし、攻める時は攻めるし、攻守のバランスよくできている。フォアとバックのバランスもすごくとれている。何よりも、自分のテニスをやり切れているという自信は絶対なくならない」

 日比野は1回戦でアメリカ期待の18歳キャサリン・ベリス(36位)を6-3、4-6、7-5で破り、2度目のUSオープンで初勝利を挙げるとともに、グランドスラム8大会目で念願の初勝利を挙げた。2回戦では、サファロバに1-6、6-3、2-6で敗れたが、トップ選手と対戦しても、ラリー戦ではたしかな手ごたえをつかんだ。

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