松岡修造、杉山愛ほか8人から、引退する伊達公子への惜別メッセージ (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

松岡修造
 元プロテニスプレーヤー。世界46位になって、日本男子として世界ツアーへの扉を開き、1995年のウインブルドンではベスト8に進出した。

「相当つらい判断だと思います。伊達はプレーをもっとしたかったでしょうから。彼女自身は今でもできると思っているだろうけど、右肩が思ったよりもひどい。ひざのケガをして、どうしても練習を途中でやめたり、試合にも出れなかったり、周りにも迷惑がかかってしまい、プロとして彼女はそういうことが許せなかったのでは。自分の思いを貫き通して周りに迷惑をかけるんだったら、やめようという判断なのでしょう。やり切った、もうこれでいいという引退ではないから、僕はすごくつらく感じます。

 一方で、僕はすごく安心しました。やめてくれて、ホッとした思いもあります。伊達は、限界を作らない選手なので、このまま追い詰めていったら、体が普段の生活を含めてできないくらいまできていた。主治医の方によれば、左ひざに関しては、普通の生活も危ういんじゃないかと言われていた。その状況で、やめるという仕方のない判断ですけど、彼女の人生を考えたらよかったんじゃないかな。

(第2次キャリアは)結果が伴わなくても、自分の体とのチャレンジ、まさに"公子チャレンジ"だった。伊達公子という体とともにどこまでできるのかずっと挑戦をしていて、それが(本人からすれば)面白くてしょうがなかったのでは。リハビリをしようが何をしようが、きつくなかったと思いますよ。

 でも、好きなテニスを、どこか痛くてやれないのがつらかったでしょう。どこも痛くない状態で、もう一度テニスをすることが彼女の目標だった。それはできなかったけど、チャレンジすることを教えてくれたのが伊達なんじゃないかな。

 ただ、まだ試合があるから彼女には『お疲れさまです』とは言いません。伊達がすべてをかける試合になるでしょう」

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