「泣かない」を守れなかった大坂なおみ。メンタルも技術もまだ改造中 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 ただ、3回戦のカネピ戦では、大坂が大事なポイントを奪った時にガッツポーズをつくるまではよかったが、逆にポイントを取られた時には「すべてのショットがよくなかった」と反省し、感情があふれ出し過ぎてナーバスになり、ラケットを投げたりもした。必ずしも感情の発露がプレーにいい影響を与えたとは言えなかった。

 一方、32歳のカネピは、2010年USオープンではベスト8に進出し、2012年8月にはランク15位まで上がったことのあるベテラン。最近は、両足の足底筋膜炎によってランキングを落としており、今回はスペシャルランキング(公傷による特別ランキング)196位を使ってエントリーし、予選から勝ち上がってきていた。

 大坂とは対照的にカネピは冷静にテニスをして、ゲームが競ってもチャンスを常に伺いながらプレーを続けた。

 ファイナルセット大坂の4-3で迎えた第8ゲーム、大坂は40-30にしたが、バックハンドのダウンザラインへのショットをミスすると、その後自分のミスによって2本連続でポイントを落としてサービスブレークを許した。そこから大坂は立て直すことができず、第12ゲームで再びブレークを許して万事休した。

「やっぱり勝負どころでカネピも引かなかったし、ちょっとした差だった。カネピの集中力の素晴らしさに、大坂が押されてセルフコントロールができていなかった。それをできるようにするのが次の課題、1本取るか取らないかで全然違っていたはず」

 このようにフェドカップ日本代表監督の土橋登志久氏は、大坂のプレーを評価した。だが、大坂自身はうなだれながら、こう話した。

「カネピがアグレッシブな選手だとわかっていた。終盤に向けて私がディフェンシブになってしまい、それがいつもの自分と違っていた」

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