錦織不在の全米OP。その重責は杉田祐一と大坂なおみに託された (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 その大坂を初戦で待ち受けるのは、アンジェリック・ケルバー(ドイツ)。前年優勝者の超難敵だが、大坂は「タフな試合になるだろうけれど、私にチャンスがあることはわかっている」と、気負う風もなくさらりと言った。今季のここまでの戦績は、本人曰く「完璧主義者の私にとっては物足りない」。ただし、それが成長過程で誰しも直面する痛みやもどかしさであることも、彼女は客観的に理解している。

「去年は常にチャレンジャーだった。でも今年は、相手に向かってこられることがある。移動ばかりのツアーを戦う難しさも感じている」

 そんな彼女にとって、明確に「チャレンジャー」の立場に身を置ける相手と初戦を戦うことは、むしろ好材料かもしれない。今季はやや封印気味の超高速サーブや、コート上のどこからでもウイナーを奪えるフォアハンドが「エンターテインメントの街」ニューヨークで炸裂するはずだ。

 大会全体の動向に目を向ければ、1位奪回を果たしたばかりのラファエル・ナダルと、ロジャー・フェデラー(スイス)のふたりが男子優勝争いの主軸になるのは間違いない。昨年はいずれもケガに苦しめられたテニス界の「生きる伝説」は、フェデラーが全豪とウインブルドンを、ナダルが全仏をとり、ここまでのグランドスラムタイトルを分け合っている。

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