松岡修造が斬る全米オープン。杉田に期待も優勝争いは「この4人」 (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Hitoshi Ko


 それでも松岡は個人的に、安定志向ではなく彼女本来の魅力であるパワーテニス志向に進むべきだと考えている。もちろん、どちらを選択するのかは、大坂自身なのだが......。

「周りから何を言われようと、ゼロ戦略でとにかく打ちまくるというのを、どちらかというと僕は望んでいました。そのテニスなら世界ナンバーワンにはなれないけど、グランドスラムで優勝できる。今の彼女のチョイスだと、彼女の良さがどこまで出るかわからない」

 大坂は前哨戦のひとつ、WTAトロント大会では、カロリナ・プリスコバ(1位)と対戦した3回戦で腹筋痛が再発して途中棄権したため、その回復具合が気になるところだが、ケガさえ回復してコンディションが良くなれば、USオープンで上位進出の可能性を十分秘めている。

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 最後に松岡に男女の優勝者予想を聞くと「ナダル、フェデラー、ティーム、ズベレフがタイトルに近いのではないでしょうか」と名前を挙げた。成長著しい若手と復活したベテランに熱い視線を注いでいるという。

 20歳のアレクサンダー・ズベレフ(6位)は、北米ハードコートシーズン絶好調で、ATPワシントンD.C.大会で初優勝、さらにマスターズ1000(以下MS)・カナダ大会でも初優勝し、ランキングを自己最高の6位まで上げてきている。現在一番勢いのある選手で、USオープン優勝候補の最右翼にのし上がった。

「ズベレフ、(ドミニク・)ティーム(8位)、この2人が次の世界1位になれる可能性がある。テニスに対してまじめですし、安定したテニスを持っている。ティームは、全仏で見た時の印象だと、まだかなと思った。ズベレフは攻撃テニスなので、少し粗いんですよ。まだかなと思っていたけど、錦織が『今だ」とスイッチを押しちゃいましたね(ワシントンD.C.大会準決勝で初対戦し、ズベレフが錦織を圧倒した)」

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