松岡修造が斬る全米オープン。杉田に期待も優勝争いは「この4人」 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Hitoshi Ko

 USオープンはシーズン最後のグランドスラムであるがゆえに、選手によって大会への臨み方はそれぞれ異なると、現役時代の経験を踏まえて松岡は語る。

「僕のフィーリングと、トップ選手の位置付けは違った。自分は、どのグランドスラムでも勝ちたいと思っていたし、どこでも一所懸命だったし、そして、普通のツアー大会でも一所懸命だった。でも、トップの選手は違います。グランドスラムで勝つために準備して戦っています。しかも、彼らにとって全米は最後のグランドスラムですから、たとえ、多少のケガをしていても"戦う"のが全米なのではないでしょうか」
 
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 今年の全米オープンに話を移す。松岡も、そして日本のファンも大いに期待していた錦織圭(ATPランキング10位、8月21日付け以下同)が欠場することが発表された。グランドスラム4大会のなかでも、一番相性がいい大会だけに非常に残念だが、注目の日本人選手は他にもいる。

 まず、6月にATPアンタルヤ大会でツアー初優勝を成し遂げ、先日のウエスタン&サザン・オープン大会でもベスト8まで進出した杉田祐一(43位)だ。USオープンは28歳にして、本戦初出場となる。

「期待大ですね」と松岡は、自分の46位を抜き、日本男子プロテニス選手として2番目に高い世界ランキング、43位になった杉田を高く評価している。日本を拠点にして成長した彼の功績を踏まえて、「壁をなくしてくれた」と話した。

 これまで杉田は、2009年からUSオープンの予選に挑戦し続けてきたが、いずれも本戦に上がることができなった。

「ずっと低空飛行だったけど、墜落しなかった。我慢してきたからこそ、ここ(本戦初出場)で墜落したくないという思いは誰よりも強い。そして、このレベルに居続けたいと強く思っているはず。(この世界ランクに)まぐれで入ったわけではなく、テニスの実力で入っている。安定感があるし、攻撃力があるし、自信もある。杉田はハードコートが得意なので、チャンスだと思っているはずです」

 杉田が持ち前の粘り強いプレーをすれば、ニューヨークでも勝機を見い出せるはずだと指摘する。

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