杉田祐一はコートで笑っていた。全米オープン前に掴んだ勝利の方程式 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 状況的にも、結果としても、シンシナティでの杉田の快進撃はバルセロナと酷似した形で終焉を迎えた。しかし、この敗戦が何にも増して大きいのは、ATPツアーのベスト8という高みで2度同じ経験をしたことで、それらは偶然ではないと確信できたことだろう。再現性を得たことで、原因と結果の因果関係が明らかになり、個々の事象は明確な課題となる。

「一気に行けるところまで行きたいという気持ちが強すぎた」。敗因を分析する杉田は、課題克服のカギを「このレベルをずっとキープすること」に見出す。そうすれば「落ちついて、いろんな方法も思いつける」ことへの手応えがあるからだ。

 いろんなものが見つかりつつある状況――。

 濃密な1週間を、そして今、身を置く状況を杉田はそう定義した。その「見つかりつつある」ものを手中に収めるための旅の最中に、今、彼はいる。

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