元世界1位ヒューイットが錦織圭を諭す。「自分の力を信じるべきだ」 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi



 今年もウインブルドンで初のベスト8入りできなかった錦織は、「グラス(天然芝)コートで、いい結果といいプレーができずに負けてしまったので、すごく残念です」と反省を口にしたが、グラスを克服することに、それほどこだわる必要はないのではないだろうか。そもそもグラスシーズンはウインブルドンを含めても年に5週間しかなく、ハードやクレーが主流のワールドテニスツアーの中で、グラスは現代テニスにおける特殊なサーフェスといえる。実際に、錦織がグラスでプレーするのは年に2大会だけなのだ。

 2000年USオープンと2005年オーストラリアン(全豪)オープンで優勝し、ウィットに富んだ言動で人気のあったマラト・サフィン(ロシア、37歳)は、「グラスコートは、自分のテニスの調子が狂うから嫌なんだよね。まぁ、ウインブルドンは出るけどさ」と正直に語ったことがある。もっともサフィンは、2008年ウインブルドンでベスト4に進出しているが、それはグラスで有効な武器となるビッグサーブを持っていたからだ。言動と結果が食い違うのもサフィンらしいが、筆者は錦織もグラスに対して力を抜いて臨んでいいと思う。

 もちろんそれは錦織の自由な選択だが、グラス克服よりも懸念されるべきは、試合中における錦織の不安定なメンタルだ。

 バウティスタ アグートとの3回戦では、第4セット第6ゲームで、錦織は主審からタイムバイオレーションを取られると、バックフェンスにボールを打ち込んでイライラを露わにし、続くポイントでバウティスタ アグートにフォアクロスのウィナーを決められ、今度はバックフェンスに向かって、ラケットを思い切り投げつけて、フラストレーションを爆発させた。

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