遅れてきた「花の94年組」。二宮真琴が咲き誇ったウインブルドン (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 その後も、手垢のついた表現ではあるが"切磋琢磨"してきた選手群から、最初に抜け出したのが日比野菜緒だ。ジュニア時代は同期の後塵を拝し、ゆえに強烈なライバル意識を燃やす日比野が一昨年にシングルスでWTAツアー優勝し、トップ100の壁を打ち破る。

 その日比野に続き、尾崎が昨年末にトップ100に到達すると、今年の全豪では穂積がシングルスでも予選を突破してグランドスラム本戦の舞台へ。すると今度は、加藤が5月の全仏オープンで予選を勝ち上がり、シングルスで本戦出場を果たす。まるで、火のついた1本の花火から周囲に点火し、次々と打ち上がっていくように、"94年組"は今季、一斉に開花の兆しを見せはじめていた。

 そのように躍動する同期たちの背に羨望の眼差しを向け、密かに闘志をたぎらせていたのが、二宮である。

 2011年に大阪スーパージュニアで準優勝し、ダブルスでは10代のころからITF(ツアーの下部大会)で優勝の実績をあげた彼女は、"94年組"のなかでも出世頭に属する存在だった。しかし、シングルスで徐々に後れを取ると、ダブルスでも穂積や加藤が一足先に世界の大舞台へと飛び出していく。

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