大切なポイントを取れない。錦織圭が抱える「もどかしさ」の種は何か (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 第3セットは、錦織が終盤でようやくブレークして奪うと、第4セットも錦織が第1ゲームを奪取。この時点で、錦織が自信と流れを手にしたかに思われたが、本人には「相手もいいプレーをしている。簡単に第4セットを取れるとはいかない」との思いがあったという。もっとも、そのような「最悪の状況にも備える考え方」は、錦織がいつもしてきたことだ。それが、危機に面しても切り抜けられる錦織の、勝負強さを支えてきた要因でもある。

 しかし、物事がうまく回らないときには、その思考法の"負の側面"が表層化しやすいのだろうか。

 ブレークバックを許して迎えた第8ゲーム――。30−0とリードしたにもかかわらず、2本ともに「ファーストサーブが入っていない」ことが、錦織の心に不安要素として差し込んだ。その次もファーストサーブは入らず、そこからは2本連続でダブルフォルト......。この嫌な兆しはそのまま、敗戦へと流れ込んだ。

「大切なポイントを取り切れない」

 それは今日の試合に限らず、今季の錦織がずっと抱えてきた課題であり、拭いきれぬもどかしさの種である。

「それが自分のプレーの仕方なのか、気持ちの持ちようなのか。いろいろと原因はあると思いますが......。少しずつ自信がついてくれば、プレーも変わってくると思う」

 大きな勝利とそれに伴う自信が、再浮上のきっかけになる――そう信じて、進むしかない。

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