杉田祐一、惜敗にも充実の夏。
次なる目標は「ランキング30位前後」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 心身が噛み合わぬ杉田のもどかしさは、第1セットを落とした後も拭い切れない。第2セットも先にブレークを許し、敗色濃厚かに思われた。

 しかし、ここで杉田は闘志を掻き立て、気迫で身体を突き動かし、一打ごとに叫び声を上げながらフォアの強打を叩き込む。本人曰く「リミッターを外した攻め」で第2セットを逆転すると、第3セットも序盤でブレークして奪取。一方、苛立つマナリノは主審への度重なる暴言のかどで、第4セットはポイントペナルティを取られるスタートとなった。

 のちに杉田が悔やんだのが、このゲームである。ブレークのチャンスを3度掴むが、相手のサーブを捕らえきれない。すると、このころからマナリノはそれまで以上にコート後方へと下がり、決まったかに思われるボールを幾度も地面ギリギリですくい上げて、長いラリー戦へと持ち込み始めた。

「第2、第3セットでかなり消耗して......」

 第4セット中盤からは、杉田の両足を痙攣(けいれん)が襲いだす。もつれ込んだファイナルセットでは、もはや最後までボールを追い切るエネルギーは、173cmの小柄な身体には残っていなかった。

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