「身体的にはOK」の錦織圭。芝初戦で見えたウインブルドンへの多難 (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 錦織の戸惑いは、サーフェイスの感触の違いにもあった。「ここ(ゲリー・ウェバー・オープンのセンターコート)のサーフェイスが練習コートとも違って、ウインブルドンよりもちょっと(球足が)速いと思うので、動きづらさみたいなのはあった」と、より球足の速いコートへの対応にも迫られた。

 タイブレークで第1セットを落とした錦織だったが、集中力は切らさなかった。目立ったのは相手のブレークポイントでの勝負強さだ。この試合、錦織が許したブレークポイントは10で、ベルダスコの11とほとんど差はない。しかし、錦織はそのうち9回ブレークを阻み、相手に流れを渡さなかった。

 圧巻だったのはファイナルセットの第3ゲーム。自らのミスで0-40に追い込まれた錦織は、そこから5ポイント連続奪取で窮地を抜け出してみせた。だが錦織が振り返ったのは、ピンチを跳ね返したことではなく、チャンスを生かせなかったことだった。11回得たブレークポイントのうち、3回しかモノにできなかったからだ。

「あきらめずにプレーできたのは、特にファイナル(セット)で勝てた要因にはなりましたけど......。相手がいいプレーをしていたのもあったので何とも言えないですけど、もうちょっと早めに(こちらの)ブレークポイントを取りたかったですね。

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