「自動操縦」が切れた錦織圭。マリーは退屈なドリル練習で蘇っていた (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「これ以上ないプレー内容と結果がついてきたが、2セット目以降から少し焦りだしたのと、最初のゲームを落としたところからちょっとずつリズムが狂い始めて......。自分に焦りが出て、少しずつ、やらなくてはならないことをできなくなっていた」

 その「焦り」がもっとも顕著だったのが第3セットのタイブレークだが、その前の第11ゲームもまた、いくつかの判断ミスが原因で落としたものだろう。

 最初のポイントでドロップショットをネットにかけると、続く打ち合いではフォアの打球を大きく浮かす。最後のポイントは打つべきコースを悩んだか、ラケットを離れた打球はネットの下のほうを叩いた。結果的には直後のゲームをブレークして追いつくも、この時点で精神的に「いっぱい、いっぱい」だったことを、後に彼は認めている。

 錦織が再三、この日の敗因として繰り返した「焦り」――。それは実は、マリーも大会前に抱えた悩みであったことを、錦織戦後の会見で奇しくも彼は明かしている。何しろマリーは全仏直近の2大会を、マドリードでは3回戦(1回戦免除)、ローマでは初戦(1回戦免除の2回戦)敗退という大きな不安を残す結果で終えていた。

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