傷だらけのケイvs世界一のマリー。正念場となる錦織の全仏準々決勝 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


「1セット目は長いラリーを避けようとしてミスしていた部分もあって、ちょっと単調になり過ぎて、彼に(得意の)フォアを打たせてしまった」という錦織は、コートの両サイドへ振られると踏ん張りがきかず手打ちになり、第1セットだけで15本のミスを重ね、わずか28分でセットを失った。

「圭がスロースタートで、最初はベルダスコの動きがよかった。第2セット以降は、圭は深いボールを打って、よりアグレッシブなプレーをした。ベルダスコがナーバスになって、試合の流れが変わったね」

 ボッティーニコーチが指摘したように、第1セットを取ったのにもかかわらず、ベルダスコはメンタルがまったく安定せず、プレーのペースも乱れ始めた。

「第1セットの後、圭はミスが少なくなり、より深く打ち、オープンコートをつくった。僕は思うようにボールを打ち分けることができなくて、多くのミスをした。ボールが短くなり、圭にボールを支配させ、攻撃されてしまった。圭にいいきっかけと大きな自信を与えてしまったね」
 
 中盤以降、ベルダスコがミスを重ねる一方で、「1ポイントずつを戦うことを意識した。なるべく悔いを残してコートを去りたくなかった。今一番できる最大のテニスと努力をコート上で残して終わろうと2セット目から考えた」という錦織は、ベルダスコが見せた隙を見逃さず、随所で我慢強くいいプレーを見せる。特に第3セットの第7ゲームで、6回のデュースの末、5回目のブレークポイントを錦織がもぎ取ったプレーは、勝負の趨勢を決める見事なものだった。

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