錦織圭はフランス人が苦手?2年連続黒星の「鬼門」を突破できるか (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 第1セットを落としたことや、相手に簡単にポイントを与えた点など「直さなくてはいけないところ」を列挙した錦織だが、手首のケガもあり、赤土での勝利が少ないなかで迎えた今大会では、勝ち上がりながら心技の微調整が必要なことは想定の範疇(はんちゅう)。その意味では、次に控える2回戦のジェレミー・シャルディー(フランス)戦は錦織の修正力を測るうえで格好の試金石となる。

 シャルディーもコキナキス同様に、コースの打ち分けに長けた高速サーブと、特に逆クロスで威力を発揮するフォアハンドの豪打が武器。その一方でミスが多く、当たり外れの時間帯がはっきりしている選手でもある。

 そしておそらく、次の試合で錦織を悩ます最大の要因となりえるのが、以前から「やりにくい」と苦手意識を抱くローランギャロスの観客だ。テニスを楽しむことにかけては世界有数のパリのファンだが、地元選手に向けられる声援はどこよりも熱く、対戦相手に向けられる意思は時に凶暴性をはらむ。現に錦織は過去2年、ここ全仏ではフランス人選手に進路を阻まれてきた。

 敵地で迎えるシャルディーとの一戦は不確定要素も多くなるが、過去の対戦成績は5勝2敗とリードし、特に2014年以降は4連勝中と地力では錦織が上回る。

 手のうちを知る人気選手を破ることで、視界はまたひとつ開けてくるはずだ。

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