錦織圭、失意の敗戦から「足りない何か」を求めジュネーブへ緊急参戦 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「プレーの内容は最悪ではなかったが、要所要所で足りない」

 その「足りない」何かが、もどかしさの種だった。

「物足りない」

 5月28日に開幕する全仏オープンへの調整と準備を考えたとき、錦織はローマでの戦いを、そう端的に総括した。

「特に今週は身体も万全で、自分に期待しているところもあった。ちょっとうまくいかない場面が多かったので、気にかかる部分はあります。試合数をこなせなかったのと、早めに負けてしまったので......もうちょっとプレーの質を上げないと、フレンチ(オープン)でも上には行けない」

 苛立ちにも似た反省の弁を口にする錦織は、全仏に向け「もう少し工夫して練習していきたい」のだと言った。

 翌週のジュネーブ・オープンに錦織が参戦する――。スイスメディア等からそのような報が流れたのは、試合後の会見からわずか数時間後のことだった。「工夫した練習」だけではなく、緊張感や相手との駆け引きのなかでしか得られぬ試合勘を、実戦のコートに求めたための決断なのは明白だ。

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