2017.05.03

バルセロナOPで快進撃。
杉田祐一は錦織圭も認める「スキのない男」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 高校3年生時、世界最高レベルのジュニア大会である「大阪スーパージュニア選手権」で優勝。彼の眼前には、三菱電機との契約や早稲田大学進学など、次々と光の当たる道が開かれていった。

 しかしそれから程なくして、深い迷いの森に、彼は足を踏み入れる。

「17~18歳のころはいろんな物が自然とついてきたから、考える必要もなかった。すると20歳のころにランキングが落ちたとき、ランキングを戻すことしか考えられなかった。自分が何で勝負すべきかが見えていなかった」

 悩み、もがき、ときにはあまりに多くの情報と助言に触れ、「考えがグチャグチャになった」とまで彼は言った。

 そんな杉田にひとつの転機を与えたのは、やや意外な人物である。

 それは、杉田よりも7歳年少の西岡良仁。2014年に18歳でアジア大会・金メダルを獲得するなど若くして躍進する西岡の姿に、杉田は過去の自分を重ねていた。やがてその西岡とは、同じフィジカルトレーナーに師事したこともあり、身近で見たり話をする機会も増える。

「若いのに、すごくいろいろと考えているな......」

 短期的な目標に向かって無心に邁進し、同時に長期的視野に立った計画的なトレーニングや転戦スケジュールを組む西岡の姿勢は、杉田にも進むべき道を示した。