バルセロナOPで快進撃。杉田祐一は錦織圭も認める「スキのない男」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 173cmと小柄ながらも、杉田は抜身の刀で切り込むようなリスク覚悟の攻撃テニスで、勝利を次々と掴み取っていった。その快進撃は世界9位のドミニク・ティエム(オーストリア)に止められるも、ATP500グレードの大会では自身初となるベスト8の大躍進を果たしたのだ。

「ATPツアーでインパクトを残していないと、他の選手たちに警戒してもらえない......」

 3年前にウインブルドンの初戦で敗れたとき、杉田はもどかしそうにそんな言葉を口にした。ようやく辿り着いたグランドスラムの舞台だが、出られただけで満足など到底できない。とはいえ新参者がすぐに結果を残せるほどに、簡単な世界でもないことを彼は誰より知っている。

"お客さん"のままでは戦えない。自分の居場所を確立し、対戦相手たちにも認めてもらえなくてはならない......。18回目の挑戦にして至ったグランドスラムの舞台で、敗戦の悔しさとともに新たな目標と決意を胸に刻んだ。

 世界のテニス界には「苦労人」として知られた杉田だが、日本のテニス界では、彼の名は早くから「才能豊かな期待の若手」として知れわたっていた。

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