福井烈から錦織圭へ。「全仏は、ピーキングができれば優勝できる」 (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 グランドスラム初制覇の期待がかかった2年前はジョーウィルフリード・ツォンガに、5セットの戦いの末準々決勝で、昨年はリシャール・ガスケに4セットで4回戦で、いずれも勝利への執念を見せた地元フランス選手に敗れた。

 昨年の錦織はマドリードとローマで好成績を挙げた分、一番力を発揮すべきローランギャロスでは、いささか心身ともにエネルギーが不足していたように見えた。

 2005年以降、ナダルが9回も優勝しているため忘れられがちだが、本来ローランギャロスは、球足の遅いレッドクレーの特性もあって、番狂わせが一番多い大会だ。

 それに加えて、今季はアンディ・マリー(1位)とジョコビッチ(2位)が、ひじのケガの影響もあってここまで本調子ではない。また、ニック・キリオス(16 位)やアレクサンダー・ズベレフ(21位)といった"Next Gen"と呼ばれる若手選手が急成長して結果を残し始め、現在のツアー勢力図は混沌としている。このカオスの中を錦織が切り抜け、ビッグタイトルをつかむことができるだろうか。

「今まで以上にみんなが並んでいるというか、今年のグランドスラムやマスターズは、多くの選手が『心と体が充実していれば、チャンスがある』と感じられるシーズンになるのでは」と福井氏が語るように、今季は本命選手だけでなく、思わぬ伏兵が勝ち上がってくる可能性は十分に想定される。

 だからこそ、その千載一遇のチャンスをつかむためにも錦織の再始動は万全でなければならない。クレーシーズンはもちろん、今季のテニスの行く末を左右するような、錦織にとって非常に重要な戦いが待ち受けている。

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