錦織圭の「満身創痍」問題を考える。キャリア10年目の身体が悲鳴? (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 錦織が右手首の腱鞘炎を発症したのは2014年の11月。初めて出場したATPワールドツアーファイナルズからは右手首にテーピングをしてプレーするのが彼のルーティーンとなった。さらに2015年のツアーファイナルズでも、右手首が100%ではない状態でのプレーを強いられた。

「(今回の右手首の痛みは)急に出てきたので正直びっくりしています。いつもあるやつなので、これからも気をつけながらやっていきたいと思います」と語る錦織だが、一時的によくなっても、またぶり返す可能性があるのではないだろうか。

 錦織のキャリアは10年目を迎え、今年28歳になることを踏まえれば、今までのプレーの中で蓄積されてきた疲労によって体のあちこちが傷んでもおかしくはない。ましてや身長178cmの錦織は、ツアーの中では小柄で決して体が頑丈な方ではない。

 ここわずか半年で、左でん部(16年ジャパンオープンと17年ブリスベン大会)、左わき腹(16年ツアーファイナルズ)、左腰(16年オーストラリアンオープン)、左ひざ(17年マイアミ大会)など体の左側に問題が多く発生していたが、そこに右手首も加わった。あらためて錦織は、今回の事態をいたずらに楽観視せず、自分の体から発せられるサインとしっかり向き合う必要がある。そして、チーム錦織による体のケアも一層、念を入れなければ、今後のキャリアに影響を及ぼしかねない。

 錦織はマイアミ大会後にATPランキングが4位から7位に下降する。4月からは体力的には一番過酷なヨーロッパクレーシーズンが始まり、例年どおり4月24日に開幕するATPバルセロナ大会から出場する予定だ。「このあと、しっかり体調を戻す」と語る錦織だが、健康な体あっての非凡なテニスなので、万全を期して再始動してほしい。

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