錦織圭、プレーで「試行錯誤」できる10年目のマイアミは我がホーム (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 時速135マイルの高速サーブを放つ相手との対戦では、ブレークを奪う機はそうそう何度も訪れるわけではない。数少ないチャンスを掴むには集中力が求められるが、その集中力を妨げる要因は、何かと多いように思われた。

 それでも試合序盤から錦織は、相手のセカンドサーブをベースラインから下がらずに打ち返し、相手にプレッシャーをかけ続ける。第5ゲームではデュースから相手の跳ねるセカンドサーブを、飛び上がりバックハンドで肩口から叩き込むリターン2連発。3度目のチャンスにて待望のブレークを奪い取った。

 このゲームで掌握した主導権を、彼は最後まで手放すことはなかった。第2セットも第3ゲームの3連続ウイナーで、観客の声援と流れを呼び込むブレーク奪取に成功。なかでも白眉は、強風切り裂くストレートへの強打で、ウイナーとともにゲームを奪い取った場面だ。相手サーブのコースを読み切ったかのようにリターンを放ち、甘い返球を快音響かせ弾き返した瞬間、彼はこの日一番の鋭い叫びをスタジアムに響かせた。

「風が強いと、なかなか思い切ったプレーが難しいので、ボールを入れにいかなくてはいけない場面も多かったは多かったですが......」

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