大坂なおみは、まだポテンシャルの20%。現在「テニスIQ」の特訓中 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 ちなみにこの日、大坂の練習相手に男子学生が選ばれたのにも、ちょっとした理由があった。

「なおみは女子のトップ選手と練習すると、すごく萎縮するんですよ」

 テイラーコーチが、苦笑いとともに明かす。

「試合では違う。試合のコートでは、彼女は相手が誰でも遠慮はしません。でも練習だと、ミスをしては『sorry, sorry』と言っている。それでは、彼女の持ち味が伸びる練習はできない。でも男子が相手だと、彼女は伸び伸びと強打を打ちますから」

 果たしてコーチの狙いは、見事成功したようだ。練習相手を務めた学生は、「この大会でビーナス・ウィリアムズや、男子選手のヒッティングパートナーも務めたが、彼女は、ビーナスや一部の男子選手より速くて重いボールを打つ」と証言した。

 充実の練習を経て迎えた2回戦は、彼女にとってひとつの試金石であり、成長を示す試合であった。対戦相手のジャン・シュアイ(中国)は、昨年9月に日本で対戦した際に3-6、2-6で敗れた相手。強打を放っても打ち返してくる相手の粘り強さと、少しペースを落とした遅めの展開にリズムを崩され、自分の持ち味を出せずに敗れた一戦だった。

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