錦織圭も下位選手の餌食に。次戦マイアミは「全仏」に向けて正念場だ (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 迎えた第3セット最初のサービスゲーム。大きくラインを割った錦織の2本のフォアハンドが、この一戦を象徴する。剛腕を振り抜き、ボールを叩きつぶすように放つソックの高く跳ねる強打の前に、錦織は攻めの形を築けなかった。

 3−6、6−2、2−6の敗戦が重くのしかかるのは、互いに相手の長所や戦い方をわかっていたなかで、攻略できなかった点にあるだろう。

「サーブとフォアハンドが僕の最大の武器なのは、みんなもよく知ってのとおり。特にこのコートでは、キックサーブは相手に致命傷を与える。僕の狙いは、圭に腰のあたりで打たせないこと。そのためにも今日は、ファーストサーブでもキックサーブを多用した」

 キャリア初の「対トップ5勝利」を手にしたソックは、そう言って勝因を明瞭に振り返る。

「この風のなか、彼のボールがすごく弾んだり、横にぶれたりして、打ち抜くのが難しかった。特にスピンサーブは、ここは跳ねるサーフェスでもあるし、いろんなことが混じってより取り難くなっていました」

 錦織が省みる敗因は、ソックが語る勝因と対を成した。

 昨年の錦織は79試合戦って、敗れたランキング最下位の選手は当時43位のサム・クエリー(アメリカ)だった。15位以下に負けたのも、クエリーとバーナード・トミック(オーストラリア)に2度、そして突発的なケガで途中棄権した34位のジョアン・ソウザ(ポルトガル)の4回のみ。それが今季、ここまで敗れた相手は、すべて15位以下の選手。全豪オープン時に17位だったフェデラーは別としても、金星やタイトル獲得に牙をむく挑戦者の勢いに飲まれる試合が続いている。

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