錦織圭、今年もベスト8進出。集中する秘訣は「ドローを見ない」こと (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 それが、錦織がここ数年、変わらず貫いている姿勢だ。

 錦織が4回戦で当たるのは、ランキングやシード順だけで見れば、ルカ・プイユ(フランス)かサム・クエリー(アメリカ)だと思われた。だが、実際にはドロー表に彼らの名はすでになく、代わりに駆け上がってきたのは、このふたりを破ったドナルド・ヤング(アメリカ)。ヤングは、ジュニア時代に錦織がその背を追った存在だが、18歳のころから両者の成長曲線は交錯し、今では錦織が挑戦を受ける立場にある。シニアになってからは17歳での初対戦以降、4連勝中の同期との一戦を、錦織は「ストローク戦ができるので、いい試合になるのでは」と予想した。

 周囲の目には意外に映る4回戦の対戦相手も、先々のドローを見ることのない錦織にとっては、純粋に目の前に現れた倒すべき存在だ。

 ヤングは、左腕から繰り出す重いショットで打ち合いを支配しにかかるが、錦織はベースラインから下がることなく打ち返し、いきなりボレーを叩き込む。以降も乾いた快音を心地よく響かせながら、伸びるストロークを左右に打ち分けた。最初のゲームを含め2度ブレークした錦織が、第1セットを34分で奪取。「1セット目は、すごくいいボールが打てた。速い展開に持ち込め、理想のプレーができていました」と、本人も自画自賛の内容だ。

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