錦織圭「高く弾むショット」で主導権。
次なる相手は思い出のライバル

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 ともに1989年生まれの錦織とヤングは、14歳のころから試合会場で顔を合わせ、時にライバルとして、時にはダブルスパートナーとして互いを意識してきた間柄だ。ただジュニア時代は、15歳にしてジュニアランキング1位に座したヤングが常に先を行く存在だった。当時からワイルドカード(主催者推薦枠)を得てツアーで戦うヤングの姿に錦織は刺激を受け、「ドナルドが僕のライバル」と公言することで視線を上に向けてきた。

 一方のヤングにとっても錦織は、キャリアの始まりを飾る記憶と分かちがたく結びつく存在だ。

 錦織とのもっとも印象深い思い出を問われたヤングは、考える間も要せず「2007年のフューチャーズ(下部大会)で決勝を戦ったことだよ。僕にとって、あれが初のタイトルだった。しかも、その大会で圭とダブルスを組んで優勝したんだ」と即答した。

 今から10年前の2007年4月――。ふたりはアメリカ中部の町で、ジュニアから一般レベルへ続く階段を我先に駆け上がろうとするかのように競い、このときはヤングが6-2、6-2で勝利した。

「同じ89年生まれのふたりが、またこうやって戦えるのはすばらしい。プロになってからは圭のほうが常に上だけれど、僕が目指すのは『W(winの頭文字。勝利のこと)』をスコアボードに刻むことだ」

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