錦織圭「高く弾むショット」で主導権。次なる相手は思い出のライバル (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「ここのサーフェス(コートの表面)はグリップがあるので、高いボールが効果的だったのかなと思います」

 試合後には快勝の理由をそう分析し、策の奏功を喜んだ錦織。だが「ここのサーフェス」は、実は彼が常々苦手意識を口にしてきたものだ。バウンド後にボールが跳ね上がる状況は、球の跳ね際を叩いて速い展開に持ち込みたい錦織の意思を時に妨げる。今大会初戦の勝利後には「そんなに好きじゃないここのコンディションを、無理やり好きだと考えようとしている」と言ったほどだ。その彼が、3回戦ではインディアンウェルズ特有のコンディションを味方につけ、終始主導権を握ったまま勝利まで走りきった。

「もう無理やりではなくても、ここが好きだと思えるようになったか?」

 そう問われた錦織は「そうですね。ああいう高い球をもう少し混ぜていけば、このコンディションにも対応できていくのかなと思います」と、今後の戦いへの手応えを口にする。ミュラーに快勝した錦織が次に対戦するのも、同じサウスポーのドナルド・ヤング(アメリカ)。ミュラーとはプレースタイルや武器も大きく異なる選手ではあるが、高く弾むショットの使い方はひとつのカギとなるだろう。

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