錦織圭「ここが好きだ」の自己暗示で苦手コートを克服し、難敵に完勝 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 錦織が快勝を収めたセンターコートではこの日、同大会を3度も制したコーチのマイケル・チャンが「アレン・キング・アウォード」を受賞した。テニスに情熱を捧げた米国コメディアンの名を冠するこの賞は、肩書きを問わず、テニスの普及に尽力した人物に与えられる。その受賞セレモニーで家族や友人、そしてファンに謝意を捧げたチャンは、スピーチの最後を次の言葉で締めくくった。

「僕は、この会場からクルマで数時間の町で育ちました。だからここは、僕がもっとも好きな大会です。そして今は、圭にも一番好きな大会になってほしいと思っています。だからどうか観客のみなさん、圭に声援を送ってあげてください」

 かつてこの大会を愛し、そして大会からも愛されたコーチとともに、錦織は今、苦手としたコンディションを受け入れようとしている。

「好きだ」と思い込もうとするコートを、本当に好きになるための旅――。その一歩を、まずはセンターコートに刻みこんだ。

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