ポスト錦織圭を育てられるか。日本テニス協会がフランス連盟と提携 (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 また、日本にとってはツアーレベルで通用する日本人コーチを養成することも急務だ。現在、ごく少数の日本人コーチが、日本人選手の海外転戦に帯同しているものの、現状としては、トップ100の外国人選手から日本人コーチに帯同してほしいというリクエストもなければ、実績もない。日本人コーチの窮状は、厳しい現実を突きつけている。

「テニスに限らず、日本スポーツ界の指導者としてのチャレンジが、まだ足りないと強く感じている」と指摘するのはデビスカップ日本代表の植田実監督だ。

「コーチは本で育つものではなく、選手によって育っていくもの。選手と一緒にその場に行くことが何よりも重要で、そこに行ける回数がフランスチームに比べると、まだまだ少ないかもしれない。日本人コーチの資質が劣っているとは、これっぽっちも思っていない。ただ、これから先はコーチの養成に大きなポイントを置かなければならないと実感している。選手と同じで、毎日の地道な積み上げしかない。簡単に外国人コーチを雇えばいいという問題ではない」

 ワールドテニスの潮流は速く、テニスでの10年はひと昔どころではなく、ひとりの選手生命が終わってしまうほど、かけがえのない時間だ。プロ10年目の錦織の活躍に一喜一憂してばかりいられない日本テニスの現実と未来を、どれだけの人が認識しているだろうか。

 今回の日仏テニス協力関係の始まりをきっかけにして、ワールドレベルで活躍できる日本の選手やコーチが、今後少しでも増えることを願わずにはいられない。

■テニス 記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る