ラオニッチ、錦織、ディミトロフ。「ビッグ4超え」は彼らの使命である (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「リードしていながらミスをして勝機を逃した。あのような局面でどのようなサーブを打つかなどを練習してきた」

 いつもながら彼の説明は、明瞭にして論理的だった。

 ただ皮肉なことに、彼が自覚し取り組んできた課題は、今回の全豪準々決勝の対ナダル戦で、改めて両者を隔てる差として浮かび上がる。

 この試合のラオニッチは太ももに痛みを抱えながらのプレーであったが、そのなかでも勝機があったとすれば、第1セットを落とした後の第2セット。このセットで彼は、計6本のセットポイントを手にしていた。しかしそのいずれも、幾つかはナダルの好プレーのため、そして残りはダブルフォルトを含む自身のミスのために逃す。

「早くポイントを終わらそうとして、焦ってしまった......」

 重ねたミスの訳を、彼はそう振り返った。

「焦ってしまった」「重要な局面でこそ相手はいいプレーをしてきた」

 これらの言葉は、実はラオニッチのみならず、錦織やディミトロフらがいわゆる「ビッグ4」と競り、そして敗れた際に口にしてきたものである。

「集中力が欠けたひとつのゲームで、こういう差が出てしまう......」

 これは今年の全豪4回戦で、フェデラーに敗れた後の錦織の弁。追い上げもつれ込んだファイナルセットの最初のサービスゲームで、ブレークを許したことを指している。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る