ラオニッチ、錦織、ディミトロフ。
「ビッグ4超え」は彼らの使命である

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 昨シーズン末、そのモヤとの師弟関係を契約満了につき終了させたラオニッチは、成長のプロセスが次なる章に移行したことを明言するかのように、またも新たな「往年の名選手」をチームスタッフに加える。それが、リカルト・クライチェック。1996年のウインブルドン優勝者として知られるビッグサーバーであり、引退後はロッテルダム大会のトーナメントディレクターを務めるなど、テニスの現場と深く関わり続けてきた人物だ。

 そのクライチェックをチームに招いた理由を、理論家のラオニッチは簡潔に説明する。

「今のトップ選手たちは、ベースライン上ですばらしい動きをする。ベースラインでの打ち合いでは、僕は彼らを上回ることはできない。だから、前に出ていく必要がある。

 リカルトは僕のテニスをより攻撃的に変えていくうえで、必要なアドバイスを与えてくれる。前に出ていく動き方を教えてくれる。ボレーの技術面でもオフシーズンに修正を加えてきた。僕が目指しているのは、ネットプレーをより安定させていくことだ」

 同時にラオニッチは、オフシーズンに集中的に取り組んできた点として、「プレッシャーのかかった場面で、どのようにプレーすべきか」を挙げていた。特に彼の心に深く刺さっていたのは、昨年の全豪、そして6月のクイーンズ大会でいずれもマリー相手に喫した惜敗だった。

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