ラオニッチ、錦織、ディミトロフ。「ビッグ4超え」は彼らの使命である (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 ここ数年の実績やランキング等から見ても、次にグランドスラムを獲得するだろうと目される選手群の双頭は、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)と錦織圭なのは異論のないところだろう。今季はそこに、開幕戦のブリスベン国際でラオニッチと錦織を破って頂点に立ったグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が改めて名乗りを上げた。

 この3選手が本格的に、「テニス界の未来」と目されるようになったのは2014年。ラオニッチとディミトロフはウインブルドンでベスト4に勝ち進み、錦織が全米オープンで準優勝した年である。

 それら3選手のなかでも昨シーズン、厚い上位勢の壁にヒビを入れ、頂上にもっとも肉薄したのがラオニッチだ。全豪ではベスト4に進出し、特に準決勝でアンディ・マリー(イギリス)をもたじろがせた超攻撃テニスは、彼の進化を多くの人々に印象づけた。時速240キロに迫る高速サーブにバリエーションを加え、ネットプレーの回数も増やした成長の背景には、新コーチに就任した元世界1位のカルロス・モヤの存在があった。

 その全豪での活躍が偶発的なものではないことは、約半年後のウインブルドンで証明される。ボレーの名手として知られるジョン・マッケンローを期間限定でアドバイザーに雇ったラオニッチは、準決勝でフェデラーをフルセットの死闘の末に撃破。往年の「レジェンドプレーヤー」を惜しみなく指導者に起用し、彼らの叡智(えいち)を取り入れ進化していく様(さま)は、その先に頂点奪取があることを周囲に想像させた。

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