錦織圭、フェデラーと死闘も、
もう「善戦を評価される立場」ではない

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi



 錦織とフェデラーのグランドスラム初対決は、名勝負に数えられる試合であったのは間違いない。だが、故障明けの35歳フェデラーに、27歳の錦織が勝てなかった現実を踏まえると、錦織からすれば、この接戦を評価してもいられない。

「圭は集中を高めてコートに入って、勝利に向けてとにかくハングリーである必要がある」とボッティーニコーチは望んでいた。だが、大舞台でそれができたのは、グランドスラム初優勝を目指す錦織ではなく、グランドスラム17勝のフェデラーだった。

 また、ファイナルセットには錦織がメディカルタイムをとって、左腰をトレーナーにマッサージをしてもらう場面があった。「疲労もあったので難しかったけど、気持ちは最後1セットに向かっていたので、気負うことはなかった」と話したものの、今後のシーズンに不安を残した。果たして突発的なものなのか、プロ10年のキャリアからくる疲労の蓄積なのか、細心の注意を払わなければいけないだろう。

 準々決勝で対戦する可能性があった第1シードのアンディ・マリー(1位、イギリス)も4回戦で敗れる波乱があったが、残念ながら錦織はこのチャンスを活かすことができない。

「もったいないとしか言いようがないですね。マリーも負けて。(優勝の)チャンスはあったので、(ベスト16という成績は)もの足りないですね」

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