マイケル・チャンに怒られた錦織圭は
全豪OPで「オトナ」になれるか

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「レベルが高いし、彼の練習に取り組む姿勢もすごく集中している。一緒に練習しているときは、自分も試合のような感覚で集中してできる」

 全豪オープン会場のマーガレットコートでの練習を、錦織はそう振り返った。

 今大会のドローは、開幕3日前の1月13日に確定した。錦織はいつもそうであるように、先々の展望に気をもむことなく、まずは初戦の相手のみ確認する。思えばこの姿勢も、彼がここ数年で変わったことのひとつかもしれない。まだ若いころの彼は、ドローができると自分の名と同時に対戦したい相手の名を探し、「何回戦まで行けば当たれる」と心を躍らせていたのだから......。

 今、錦織が倒すべき相手として集中するのは、1回戦で当たるアンドレイ・クズネツォフ(ロシア)。ここ1〜2年で大きく力をつけてきた、25歳の選手である。

「まだ完成されている選手ではないけれど、そんなにやりたい相手ではない。特に、この速いサーフェスではフラットでどんどん打ってくるから、気をつけるべきところはたくさんある」

 来る対戦に向け、錦織は気持ちを引き締めた。

「まだ完成されていない」粗削りな挑戦者に、錦織はいかなる現実を見せつけるのか?

 目指す「オトナのテニス」の実現に向け、初戦は格好の試金石となる。

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