錦織圭がマリー、ジョコを越えるために
「やるべきことはわかっている」

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 ツアーに帯同するダンテ・ボッティーニコーチも、少し興奮気味に錦織を評価していた。

「試合の後には『圭に素晴らしいテニスをプレーできたね』と話したんだ。あの試合は、歴史的なものでした。本当に接戦でした。圭は2セットで勝てるチャンスがありましたし、自信を深めることはできたはずで、いい感触を得たと思います」

 だが、ボッティーニコーチは続けて、セットの立ち上がりの悪さとブレークポイントを取り切れないところが課題であると指摘した。

「いつも圭はサービスゲームで、もう一段上のフォーカスが必要です。あのようなタフな第1セットを取った後は、特にね。そして、何度もあったブレークポイントの場面で、いいプレーを実行できませんでした。いいプレーはしましたけど、あのような試合を勝つには、メンタルの部分も少しずつ向上させる必要があります。圭自身もわかっていることなんです」

 錦織もこのように語っている。

「試合の中でもっとアップダウンが出ないようにして、集中しなきゃいけないポイントを見極められたり、ブレークポイントをしっかり取れるようになったり。そこが(上に行くために)一番必要なところ。サーブはまだまだ改善しなければいけないところはありますけど、一番はメンタル的なところが多いかなと思う」

 試合の流れを決めるような大事なブレークポイントをいかにして確実に取っていくかは、さらに上を目指すためのキーポイントになる。
 
 2016年シーズンで、錦織はツアー優勝こそATPメンフィス大会での1回だけだが、グランドスラムのUSオープンでベスト4に進出し、マスターズ1000のマイアミ大会とカナダ大会でともに準優勝を果たし、これまで以上に大舞台で安定した強さを発揮することができた。

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