2夜連続の失速。なぜ錦織圭は後味の悪いシーズン終幕となったか (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 今大会の錦織は、初戦のスタン・ワウリンカ(スイス)では圧巻のプレーで勝利を手にし、その2日後の対マリー戦でも、あのマリーが「ほぼすべてのポイントで圭に主導権を握られた」と言って悄然(しょうぜん)とするほどに、打ち合いでは世界1位を圧倒した。しかし結果的に、相手を上回る11のブレークポイントを手にしながら2本しかモノにできず敗れた事実が、どこかで尾を引いたかもしれない。

「もう少し、勝ちを取りにいく気持ちでいければよかった」

 それが、ジョコビッチ戦後の彼が抱えた、最大の悔いだった。

 マリーとジョコビッチが年間1位の座をかけ、ツアーファイナルズの決勝戦を戦う今季の男子テニスは、地殻変動の予兆が見られた年でもある。テニス界のシンボル的存在であるロジャー・フェデラー(スイス)がひざのケガで長くコートを離れ、代わってミロシュ・ラオニッチ(カナダ)やチリッチら錦織の同世代が自己最高ランキングでシーズンを終えた。

 錦織にとっても、マイアミとカナダのマスターズ2大会で準優勝し、過去最多となる58勝を掴んだ今シーズンは、「結果的に見れば、一番いい年」である。世代交代が進むなかで、錦織は自分の立ち位置を、「自分で言うのもなんですが、次に4位、3位に入っていける能力はあると思う」と断言した。同時に、「そこに行くのも、自分がこれからどれだけトレーニングを積んで、しっかり練習していくか」だとも自覚している。

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