勝ったマリーが敗者のような言葉。錦織圭は手応えをつかんで前を向く (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 そう......たとえ敗れたからといって、落ち込んでいる暇はない。総当たりのグループ戦では、2日後には準決勝進出をかけた一戦が控えているからだ。

 その3戦目の対戦相手は、2週間前のバーゼル大会決勝で敗れたマリン・チリッチ(クロアチア)。予選突破の条件としては、同グループにいるマリーがスタン・ワウリンカ(スイス)を破れば、その時点で錦織の2位通過が確定する。しかし、錦織が追い求めるのは勝利であり、そしてなにより、自身が納得できるプレーだろう。

「この大会は次の試合まで1日空くので、リフレッシュして気持ちを切り替える時間がある。ポジティブに明日練習して、試合にがんばりたいと思います」。

 自分に言い聞かせるように、彼は言葉を紡ぎ、前を向く。

 大会史に刻んだ死闘をも過去として、錦織圭の2016年シーズンは、まだ続く――。

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