勝ったマリーが敗者のような言葉。錦織圭は手応えをつかんで前を向く (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 錦織が後に、「あそこが一番悪かったところかも......」と悔いとともに振り返ったのは、この直後のゲームである。

 第2セットの、第1ゲーム――。最初のポイントこそサーブで簡単に取るも、その後はミスや単調な攻めが続いて、マリーにリードを許してしまう。最後も錦織のフォアのストロークがラインを割り、両者を通じて初のブレークがマリーの手に。

「1セット目にあれだけ集中力を使っていたので、多少は放心状態になっていましたが......」

 第1セットが終わったときの精神状態を振り返り、錦織が真摯に続ける。「それを戻せなかったのが、自分のまだまだ弱い部分で、直さなくてはいけないところです」。

 その後、錦織は第8ゲームをブレークバックして追いつくも、直後のゲームでふたたびブレークを許し、第2セットを失った。

 第3セットでも、打ち合いならば錦織の優位は続く。しかし第3ゲーム、2連続ダブルフォールトを絡めて落とした時点で、試合の趨勢(すうせい)はほぼ決した。

「ファイナルセットでも、彼(マリー)のレベルは落ちない。そういう差は、まだまだあるかなと思います」

 試合後の錦織は冷静に、世界1位と自身を隔てたものを見つめていた。そして同時に、「自分がもう少ししっかりしていれば、勝つチャンスはあった。そこまでテニスの差はなくなってきている」と、3時間20分の死闘のなかから、明るい材料を持ち帰ることも忘れない。

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