フェデラー、ナダルのいないツアーファイナルズを彩る、新たなスター (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 昨年はツアーファイナルズ初出場者がいなかったが、今回は2人が、トップ8のエリート選手の仲間入りを果たした。

 ガエル・モンフィス(6位)は、30歳にしてうれしいツアー最終戦デビューとなる。たぐいまれな運動能力とアクロバティックなテニスで、ファンを魅了する選手だ。これまでケガに悩まされることが多かったが、今季はこれまでにないタフさと勝負強さを見せ、USオープンでは初めてベスト4に進出した。また、今季錦織との対戦では、マイアミ大会準々決勝で5回、リオデジャネイロオリンピック準々決勝で2回のマッチポイントを逃す死闘のすえ敗れたが、鮮烈な印象を残した。

 ドミニク・ティエム(9位)は、23歳で初出場を果たし、新勢力の台頭を象徴するような存在といえる。現代テニスでは少数派になった片手バックハンドストロークの選手だが、トップスピンが強力にかかった重いボールを打つ。特に、クレーコートが得意で、ローランギャロスでは初の準決勝に進出して、自らの名前を世界に知らしめた。

 すでにツアーファイナルズでは、ラウンドロビン(総当たり戦)のグループ分けが行なわれ、1つ目のグループが、マリー、ワウリンカ、錦織、チリッチ。もうひとつは、ジョコビッチ、ラオニッチ、モンフィス、ティエムとなった。各グループ上位2名が準決勝に進出する。

 そして、シーズン終盤を迎え、2016年最大のサプライズが起こった。

 マリーが、今季前半に絶好調だったジョコビッチを抜いて、史上26人目の世界ランキング1位になったのだ。29歳で初めて1位になったのは、1974年に30歳で1位になったジョン・ニューカムに次ぐ年長記録。そして、イギリス男子としては初めての快挙だった。

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