楽天OP初戦で「よもや」の錦織圭。第1セットを落とすのも想定内? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 試合開始から、40分――。錦織の勝利を願うセンターコートに、「よもや......」の不穏な気配が立ち込める。

 ところが、コートに立つ錦織の胸中に、さほど焦りや不安はなかったという。それは、10代のころからよく知る相手の特性や心の内を、彼が冷静に見定めていたからだろう。

「あのプレーが続くとも思ってなかった」

 試合後に、錦織がさらりと言う。2年半前の全豪オープンで対戦したときと「ほぼ同じ展開」であったことも、そう信じられる判断材料になっていただろう。その全豪の試合でも、序盤のヤングは超攻撃的プレーに終始したが、第2セット以降は失速する。そのような経験も踏まえたうえで、錦織は「もっとトップスピンを使うこと」「深いボールを打ち、自分から左右に振っていくこと」、そして相手のフォアの逆クロスを封じるためにも、「フォアサイドにも振っていくこと」などを心掛けた。

 そうして第2セット以降の彼は、掲げたプランを確実に実行していく。

 一定のペースで打ち合うことはせず、高く弾むショットや、相手を前に釣り出す浅いボールを織り交ぜながら、相手のリズムを狂わせる。またこの日は、サーブが確率・スピードともに高かったことも、ゲームプラン遂行を容易にした。

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