第1シードの錦織圭。楽天オープンを制してロンドンへの切符をつかむ (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 そして、順当にいけば、最後に錦織の前に立ちはだかるのが、2010年ジャパンオープンで準優勝したことがあり、アクロバティックなテニスで観客を魅了する第2シードのモンフィスだ。30歳になった彼は、今季ベストテニスを披露し、USオープンでは初めてベスト4に入って、今までになかった強さを発揮した。また、今季の錦織との激戦も記憶に新しい。マスターズ1000・マイアミ大会準々決勝では5回のマッチポイントを、リオ五輪準々決勝では3回のマッチポイントを握りながら錦織にひっくり返されて、いずれも敗れたが、彼の攻撃的なテニスが光った試合でもあった。有明でのプレーは3年ぶりになるが、もし錦織と再戦となれば、好試合が期待できる。

 また、16年シーズンも終盤、ATPツアー最終戦となる成績上位8人だけが出場を許されるワールドツアーファイナルズ(ロンドン開催)の出場権争いは佳境に入っている。現在錦織はその出場権を争うRace to Londonにおいて、4315ポイントで5番目の好位置につけている。すでにノバク・ジョコビッチ(1位)、アンディ・マリー(2位)、ワウリンカの3人が出場を確定させているため、残り5枠を争う。

 ジャパンオープンと翌週のマスターズ1000・上海大会で、もし錦織が好成績を収めることができれば、ツアーファイナルズの出場権を3年連続で確保できるかもしれない。

「楽天と上海をしっかり戦いたい。(その次に出場予定の)バーゼル(大会)をよくスキップしているので、そこも戦えるように体を調整しながらいきたい」

 今回のジャパンオープンではワウリンカの欠場により繰り上がって、錦織は初めて第1シードが付いた。もちろん日本男子選手としては初めての栄誉だ。グレード500の大会では3回目の第1シードで、15年アカプルコ大会では準優勝、15年バルセロナ大会では優勝を飾った。「しっかり準備はできています」と語る錦織が、トップシードとして優勝争いの中心的存在になり、そのプレーにファンの視線が釘付けとなる1週間になりそうだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る