大坂なおみ、弱点克服で「超高速サーブ」がズバズバ決まった (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 第1セット、一進一退の攻防から大坂がブレークし、4-3とリードした場面で、ウォズニアッキはメディカルタイムアウトを取る。足の付け根にテーピングを巻くため、相手がロッカールームに戻ったその間、コートにひとり取り残された大坂は、「これで勝利へのチャンスが広がったのかも」との期待感と、「彼女は大丈夫だろうか? 深刻なケガでなければいいけれど」との心配に襲われ、心をかき乱される。

 その乱れを、経験豊富なウォズニアッキは見逃してはくれない。相手の老獪な試合運びの前にミスを重ねた大坂は、再開後の14ゲームで4ゲームしか取れず、今大会5試合目にして初めて敗者側に身を置いた。

「重要な場面で、ミスが多すぎた」

 試合後の会見で、大坂は敗因をシンプルに総括する。さらには今回の経験を踏まえ、「準優勝は嬉しいけれど、今、わたしが考えていることは、次に同じような状況になったときには、今回の経験を生かしたいということ」と、早くも"次"に視線を向けた。

「この大会は、本当にすばらしいよ。またね!」

 ノスタルジーを覚える有明コロシアムでの濃密なる1週間を戦い終え、表彰式での大坂は、精一杯の日本語にファンへの謝意と再会の約束を込めた。

「来年は、ここで優勝したい」。その誓いを、ひそかに胸に抱きながら――。

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