大坂なおみ、弱点克服で「超高速サーブ」がズバズバ決まった (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 すると、ネットに掛かっていたボールが、相手コートをとらえるようになる。短くなっていたサーブも、コーナーに鋭く刺さり始めた。躍動感あふれるプレーで3ポイントを連取して追いつくと、スタジアム内に破裂音と観客の感嘆の声を響かせ、センターに叩き込まれる時速192キロのエース――。最後も188キロのエースを豪快に打ち込み、6-2、6-1の圧巻の勝利を掴み取る。ファンの声援を浴び、有明で手にしたこの勝利は、悪夢を振り払った証明であると同時に、彼女がもっともランキングの高い選手から手にした金星でもあった。

 ニューヨークから引きずるしがらみを断ち切ったその先で、18歳は伸びやかに疾走する。

 3回戦では、予選上がりのアリャクサンドラ・サスノビッチ(ベラルーシ)から挑まれる難しさに耐え、第2セットでは0-5から逆転する"横綱テニス"を披露。

 準決勝のエリナ・スビトリナ(ウクライナ)戦では、第1セットを奪われながらも第2セットを競り勝ち、最後は世界20位をして「何をすればいいのかわからなくなった」と言わしめるほどの精神戦を制した。

 その大坂が「これまで経験したことがなかった状況」に直面したのが、彼女にとって初のツアー決勝戦となる、対キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)戦。度重なるケガから急速に復調しつつある元世界1位は、タイトル獲得に向け並々ならぬ執念を燃やしていた。

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