ポスト・セリーナは大坂なおみ?全米OPベスト32の将来性 (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 日本テニス協会ナショナルコーチの吉川真司氏はそう指摘したが、逆に大坂はミスが増えてきて、5-1からキーズに追い上げられる中、今までに経験したことのないようなパニックに近い精神状態になり、第8、第10ゲームで自分のサーブをキープできなかった。

 特に、大坂の5-4、第10ゲーム30-30から、大坂がフォアボレーをミスしたのは悔やまれる。決めていればマッチポイントをつかむことができたはずの大事な場面だった。

「悲しかったし、5-1からキーズに簡単に追いつかれて慌ててしまった。それに、ママも見ていたしね」と大坂は何度もリストバンドを目にあてて、涙を拭うシーンが見られた。

「もちろんもっと先(のラウンド)にいきたかった。5-1の時には、その思いだった」と振り返った大坂は勝利を目前にして敗れ、落胆を隠しきれなかった。しかし、初めてのUSオープン本戦の3回戦でトップ10プレーヤーと対戦した経験値は、キャリアが始まったばかりの彼女にとってはかけがえのない財産になるのは間違いない。対戦したキーズは、「大坂は素晴らしいサーブを持っているし、フォアハンドも素晴らしい」と若い才能を認めた。
 
 今シーズンの大坂は1月のオーストラリアン(全豪)オープンと5月のローランギャロスでともに3回戦に進出し、ウインブルドンは右ひざのけがで欠場したものの、USオープンでは再び彼女の高いポテンシャルを見せつけた。

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