「本当は金が欲しかった」
錦織圭がリオの銅に見いだす大切なこと

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「USオープンに、ピークをどうしても持っていきたい。ここで(ランキングポイント)1000点を獲りにいくのか、それともリラックスして臨むのか。身体と相談しながらになると思うので、試合をこなし、様子を見ながらになる。一番はケガをしないことなので......」

 その「様子を見ながら」の戦いの初戦となった対ミハイル・ユージニー(ロシア)戦で錦織は、6-3、6-2と簡単にも思えるように勝利を手にした。ただ、返球が難しそうなボールを、無理して追うことはなかった。

 序盤はボールをネットにかける場面も多く、疲れの色は隠し切れない。リオ五輪に比べてはるかに跳ねるサーフェスと飛ぶボールに戸惑い、リズムも掴めなかった。それでも相手のミスを誘いつつ、勘所(かんどころ)を押さえる強者のテニスで、1時間21分の完勝。疲労が「まだ抜け切っていない」と認め、快調とは言いがたい自分のテニスに小首をかしげもした。それでも改めて、目標は「マスターズ優勝」だと公言し、その手応えや心構えも口にする。

「今年はマスターズで2回決勝に行けているので、そこはポジティブにとらえている。優勝は近く感じてはいますが、なかなかまだ勝てない相手がふたり......マリーとジョコビッチがいるので、そこを倒さないと優勝はない。そこらへんをゆっくりと、でも多少は焦りながら、勝っていけるようにしたいですね」

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