「成長を測る存在」ナダルを撃破。錦織圭の銅メダルは強さの証 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by JMPA

「彼は将来トップ10、いや、トップ5になる。僕が保証する」

 2年前に伯父が口にした予言めいた言葉を、今度はナダル本人が裏書きする。ちなみに、この初対戦から2ヶ月後、ナダルは北京オリンピックで金メダルに輝いた。

 マイケル・チャンをコーチに迎え、躍進のシーズンとなった2014年。錦織はナダルに2度挑み、跳ね返されるも、そのたびに手応えを自信に変えていった。

「対ナダル戦」の初勝利はその翌年、実に8度目のチャレンジで掴み取る。このときの錦織は、ナダルの慧眼(けいがん)を証明するかのように、世界の4位に座していた。一方のナダルはケガや病から復帰してまだ日が浅く、当時のランキングは9位。それでも、長年仰ぎ見たナダルから得た勝利は、自分が今いる地位に相応しい選手だとの自信を、錦織に植えつける。

 だからといって、両者の成長曲線は交錯したわけではなく、その後はナダルが2連勝。肩を並べた、あるいは追い抜いたかと思った瞬間、ナダルはふたたび錦織を突き離しにかかっていた。

 通算11度目となったオリンピックでの一戦も、そのようなふたりの足跡を映すような戦いとなる。今大会はダブルスにも参戦し、すでに金メダルも手にしたナダルは、さすがに疲れの色が隠せなかった。そのナダルに対し、錦織は過去の対戦で感得してきた攻略法を実践する。つまりはボールの跳ね際を捕らえ、速いタイミングで打ち分けること。第1セットは、錦織が6-2で奪い取った。

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