錦織圭のライバルは五輪欠場。ポイント荒稼ぎで勢力図は激変? (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 彼らにとって、トップ4のうち3選手までもが欠場するカナダ・マスターズは、ランキングポイントを荒稼ぎする千載一遇のチャンスだ。また、五輪期間中に開催されるロス・カボス・オープン(メキシコ)にも、ティエムをはじめとする五輪欠場組が顔を揃える。ここから先の1ヶ月間で、トップ20の顔ぶれや序列に変動が生まれる可能性は高い。

 もっとも、それら過密スケジュールの恩恵を受けているのは、よりランキングが下の選手たちも同様である。ウインブルドン以降の数週間は、同じ週に複数の大会が開催されるうえに上位選手は欠場しているため、各大会の選手層は必然的に薄くなる。そのため、この2週の間に行なわれた男女計12大会で、すでに5人のツアー初優勝者が誕生したのだ。

 このような混沌状態は、日本勢にとっても「ブレークスルー」の好機である。現在日本には、男子に西岡良仁、杉田祐一、ダニエル太郎、女子では大坂なおみ、奈良くるみ、尾崎里紗ら複数の選手が100位前後......つまりはグランドスラム本選出場の当落線上に揃っている。

 そのうち西岡と杉田は、先週開催のシティ・オープンに滑り込みで出場し、初戦を突破して貴重なポイントを獲得した。また、尾崎も同じくシティ・オープンに参戦し、自身初のツアーベスト8に進出。しかも彼女は初戦で、前年優勝者のスローン・スティーブンス(アメリカ)を破る金星を手にしている。これらの結果は単なるポイントのみならず、自信と経験値を彼・彼女たちに与えたはずだ。

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