ラオニッチが悪童マッケンローから学んだ「対戦相手の嫌がること」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 そのような取り組みの成果は、ウインブルドン準決勝のロジャー・フェデラー(スイス)戦でも顕著に見ることができた。この試合でのラオニッチは、 ネットプレーを56回仕掛けて38回成功。また、試合の命運がかかったファイナルセットの第4ゲームでは、ネット際の激しい攻防を制してブレークをもぎ取った。フェデラーのボレーコースを読み切ったように決めたフォアのパッシングショットは、ラオニッチとマッケンローが声を揃える「ポジショニングの研鑽」の成果に他ならない。

 しかし、辿り着いたグランドスラム決勝の舞台では硬さも見られ、ツアーきってのカウンターの名手のマリーに持ち味を完全に消されてしまう。ここまで1試合あたり20本前後決めていたサービスエースが、決勝では8本まで減少した。

  2003年のウインブルドン準優勝者であり、現在は解説者としても活躍するマーク・フィリプーシスは、「もっとネットに出て欲しかった。何度かパッシング ショットを決められたあと、消極的になってしまった」と指摘している。決勝戦のスコアは、4-6、6-7、6-7。得意なはずのタイブレークで、いずれも ミスを重ね落とした末の、ストレートの敗戦だった。

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